カズヤの姿が完全に見えなくなった時、不意にレンは立ち止まった。
前を向いたまま、腕を掴んだまま――呟く。
「お前ふざけんなよ……。」
くいしばった歯の間から漏れるような声。
「今何時だと思ってんの?こんな時間まで男と二人で何してんの?あいつお前のなに?」
急な質問攻めに言葉を失う。
一つ一つ答えたいけど、レンがそんな暇を与えてくれない。
「なんで電話出ないの?何回かけたと思ってんだよ。…どんだけ探したと思ってんだよ……。」
息が切れてたのはそのせぃ?
走って探してくれてたの?
どうして……?
遊びだったんでしょ?
「っつーか………なんで追っかけてこねぇんだよ。なんで電話してこねぇんだよ。」
振り向いたレンと初めて目を合わす。
まっすぐ射抜くように強い瞳に捉えられ、目が離せない。
「お前……俺と終わってもいいのかよ……?」
終わらしたのはそっちでしょ?
なんでそんなこと言うの?
なんでそんな目をするの?
なんで手が微かに震えてるの………?
「レン……私……。」
言いたいことはたくさんあるのに、声が出ない。
どぅしよぅ……伝えたいのに………