夜が明けた
僕はふらつく足取りで会社に向かった
仕事中、君の事が頭から離れない
君が僕を見る冷たい瞳
もう逢う事は出来ないのか
あの店に行く勇気がない…
けれど君に逢いたい
仕事が終わり、家に帰った
服を着替えようとした時、
上着のポケットに何かが入っている事に気付いた
僕は何かを取り出した
小さなオモチャの指輪
何処かで見た事があるような…
ふと、頭の中に君が浮かんだ
これは君のものなのか?
…と同時に昔の記憶が蘇ろうとする
思い出せない…
遠い昔の記憶−
僕と君…そしてこの指輪?
「紫苑」
僕は思い出せないまま眠りについた
……。
(此処は何処だ?)
何か懐かしい
僕の前に少女が立っていた
少女は僕に微笑みかける
…君みたいに
そして少女は僕に手招きをし、走って行く
僕は少女を追いかける
何処まで走ったのか
少女を見失ってしまった
呆然と立ちつくしていると、少し離れた所に人が倒れているのに気付いた
近いてみた
倒れていたのは君だった
僕は君に触れようとする
君は目を覚まし僕を見た
そして僕に何か伝えようとした……
(夢…?)
君は何を言おうとしたのか
あの少女は…
僕は指輪を握りしめていた