黙って俯くと、上から深いため息が聞こえた。
「……まぁ、今さらお前が何言っても関係無いけど。」
また、ダメだった……
どうしてこぅなんだろ。
情けなくて涙が滲む。
「レ…ン……。」
ようやく声を絞り出した瞬間――
ギュッ
強く抱き締められていた。
染み込む温度。
聞こえる鼓動。
香水の香りにくらくらする。
「レン……?」
「離してやんねぇから。」
「ぇ……?」
背中に回された腕に力がこもった。
耳元で静かに囁かれる言葉は――
「お前がなんて言おうが、絶対に別れてやんねぇ。」
涙が零れた。
ねぇ、聞いていい?
わからないことがありすぎるの。
答えて、くれる?
「なんで……そんなこと言うの…?」
「そんなの……決まってんだろ…。」
「恋愛ごっこって……。」
「ぁんなの嘘だし。」
「もぅやめよぅって…言ったじゃなぃ……。」
次々と溢れる涙が、レンの服を濡らしていく。