恋人未満6

カトリ  2007-05-11投稿
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哲也は席を立つ。

「奈緒、出よ?」

哲也は奈緒の荷物と伝票を持ちレジへ向かう。


「ちょっ…哲?!」


車に乗りこむとすぐに車を発進させる。


「哲?どこ行くの?」


「ラブホ。」


哲は奈緒の方を見向きもしない。


「……」


2人無言になる。

部屋に入ると、哲は奈緒の腕を引き、ベッドに押し倒した。


「哲??ちょっと待ってよ!」


今までにない、乱暴なキスと愛撫に奈緒は戸惑った。

「…やっ。待って!哲!?」


無理やりに奈緒の服をまくりあげ、スカートの中に手を入れ、下着を脱がす。


「奈緒が望んだ関係だろ?」


コンドームを着け、奈緒に覆いかぶさる。


「…痛っ…!」


それでも、哲也はやめなかった。


奈緒が抵抗する事を辞めたのに気がつき、哲也は奈緒の顔を覗き込んだ。


奈緒は顔を横に背け、涙を流している。


哲也は我に返った。


「奈緒…ごめん。」


哲也は、奈緒から離れ、奈緒に布団を掛ける。


「…平気。続けていいよ?」


「帰ろ。」


哲也は服を着始める。


奈緒も何も言わずに服を着て、髪を整えた。


奈緒の家の前に車を停める。


「…ありがと。送ってくれて。…じゃね。」


車のドアを開ける。

「…奈緒。」


哲也は奈緒に触れる事なく呼び止める。


「…ん?」


いつになく、真剣なまなざしで、哲也は言った。


「俺ら、もう、会わない方がいい。」



奈緒が予想していた言葉。


そして一番恐れていた言葉。


嫌だと、一言いえば、何かが変わっていたかもしれない。


けれど、それさえも恐れて、奈緒はその言葉を受け入れるしかなかった。


「ん。そうだね。」


「…今日は本当にごめん。……彼氏と幸せになって。」


哲の言葉に胸が張り裂けそうになった。

「うん。じゃね。」


哲也の車に背を向け、奈緒は家に向かった。



哲也は、しばらく車を発進させることなく、ハンドルに額をつけてうつむいていた。



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