カーテンの隙間から日の光が射し込む…朝だ。
今日はうるさい目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた。
あれから僕は海斗に一言“ごめん”と言っていそいで帰ってきた。
それしか言えなかった。
他にもいろいろ言葉はあったはずなのに…
その時の僕にはそんな事を考える余裕がなかったらしい。
「今日は休むわけにはいかないよな…」
あさって英語の小テストをやる、と2日前先生が言っていたのを思い出す。
仕方なくのろのろと起き上がり制服に着替え、一階におりる。
朝食の用意をしようとして思い出した。
「また買いそこねた…」
昨日結局コンビニに行けなかったので冷蔵庫は空っぽのままだった。
「学校行く途中でコンビニ寄るか。」
僕は支度をして家を出た。
ここで僕は一つ重大な事を思い出した。
「海斗…」
そう。いつも学校へは海斗と一緒に行くため僕が通学路で通りかかる海斗の家に迎えに行っていたんだ。
「これは、どうするべきなんだ…?」
僕は自分の家の前の路上で考えていた。
五分くらいたっただろうか…向こうからクラスメートで、いつもつるんでいる永倉大樹が自転車に乗って僕に近づいてきた。
「よっ!りょーちゃん。」
大樹は僕の前まで来ると自転車を止めた。
「え?あ、大樹おはよ。つかその呼び方はやめてって前から言ってんじゃん。」
考え込んでいたせいか、目の前に来るまで大樹に気付かなかった。
「いいじゃん、いいじゃ〜ん。それより、りょーちゃんなに自分の家の前でぼーっとつっ立ってんのー?」
まったく。その呼び方やめてって言ってんのに。はぁ…。
心の中でそう思いながら一瞬忘れかけていた本来の目的を思い出した。
「あぁ!どうすればいいんだよぉ!!」
僕はなかばヒステリックのように叫びながら両手で頭をかかえた。
はたから見ればおかしな人に見えるだろう。
それに驚いて大樹が慌てて自転車からおりて僕をささえる。
「りょーちゃん!?どした!?いきなり!」
「助けて大樹ぃー…」
僕は大樹にすがりつくような泣き声で助けをもとめた。