漆黒の世界――
祐希(痛ェ……何も…ナイ――…)
視覚も聴覚も触覚も、なんの少しの感覚すら掴めない。
『…‥‥』
何か声が――頭に響く。
祐希(ぁ?)
『…‥‥』
祐希(……何だよ…?誰だ!?――)
不意に目に明かりを感じる。
祐希(――赤ぃ…ヒカリ――)
漆黒の空間に、ぼんやりとそれが見えたような気がした。怜子の言葉が思い出される。
怜子“「コクピット内の赤ランプは【警報】よ――」”
祐希「――言ってたな……」
直感でわかる。“アイツ”が近づいてくるコトが……
"使真"――
……殺される――
『それでは、面白くない』
再び何処からか頭のなかに響くように声が聞こえた。
祐希「――え?」
『貴様は死にたいのか』
なっ誰が――ッッ!
『並ば示せ』
何を――
『お前の意志を、力を――さぁ、今一度聞く。お前は、死にたいのか』
俺は――俺は…死にたくない――…!!
祐希「――ッッ!!」
刹那、祐希の中で何かが弾けた――
祐希『はぁぁぁぁ―――――ッッ!!!』
――
“ピーッピーッピー――ッ”
瑞枝「何?」
沈黙を続けていたイヴェリスに動きがみられたことを示すようにシステムが反応する。
管野「フェ…フェイヴェリスの各数値が、飛躍的に上昇中!フェイ、使真に接近開始!」
風間「―――」
風間は静かに、復活したフェイの姿を見る。
怜子「低迷していた同調率が再び72%に到達した!?……まだ上がる――ッッ!!?」
怜子はめまぐるしい速さでコンピュータのキーを叩き、データの分析をしはじめた。
浜名「……一体――」
瑞枝「どうして……」
あまりの驚きから、モニターをただ見上げることしかできない。
風間「……来たのか」
独り呟く。
そして風間もまた、モニターを見据え司令席で人知れず、沈思した――。
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