頼り

ふく  2007-05-12投稿
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終わりはないと思っていた
根拠はない
ただずっと繋がっていられると思っていた
電話が出来る限り
メールが届く限り
手紙を出せる限り

遠くへ行っても
何かで繋がっているものだと
気持ちが繋がっているものだと
そう信じていた

いつからか
電話をすることはなくなっていた
声を聞けない
それでもメールはした
何度もやり取りをした

忙しいから時間が合わないから
それだけだった
電話がなくなればメールも回数は少なくなる一方だった
送っても返事は返ってこない

手紙を出した
一ヶ月後にやっと返事は来た

忙しい
変わらず頑張ってるよ
そっちに帰ることはあんまりないかな

紙一枚に余るくらいの返事だったけど嬉しかった

繋がるモノがある
それだけでも十分に思えた


いつしかメールも手紙も回数は減った
何故か私からのメールもなくなった
正直に言えばしづらくなってしまった
返事のない一方通行のメールは
虚しいだけだった

久々に声が聞きたいそう思って息を呑み通話ボタンを押す
嫌な予感はしていた電話番号は変わっていた
アナウンスが寂しく響く
震える手でメールを打つ
追い打ちをかけるようにエラーメッセージが届く
しばらくの間携帯を片手に呆然となる

手紙がある
手紙に託そう
そう思い必死に文字を綴る
何を書いたかさえ覚えていない

何日か後にポストに一枚の封筒が届いていた
胸が高鳴る
きっと返事だと喜びでいっぱいになる

手に取ったその瞬間心臓が大きな音を立てた
目の前が真っ白になる

返送されて来た自分が出した手紙だった
言葉にならない気持ちを抑えるのが精一杯だった
繋がるモノがなくなってしまった
気持ちさえも繋がっていないのだと
事実を受け止めることがこんなに辛いものだとは思わなかった

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