君の声が聞こえるまで?

さくら  2006-02-19投稿
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それから1週間が過ぎたが僕の生活には特に何の変化もないままだった。ただあの子が気になって仕方がなかった。何から生まれた感情なのかよくわからなかったが、ただ逢いたくて仕方なかった。いや、逢っても何をすればいいのだろう。と言う自分への問い掛けが頭の中を回っていた。  聾唖者とは限らず盲目の人何かしら障害を背負った人は何故か地味なイメージしかなかったせいか彼女の外見と彼女の背負う物があまりにもギャップがあり過ぎた。           「聞いてんの?お前に話てんだけど」隼人が僕の顔を除いた。「聞いてるよ」隼人を視界に入れないように言った。先生の言葉、隼人の無駄話が僕には自然と耳に入る風や木のざわめきのように感じていた。   もう一度逢いたいと思う気持ちが強かったせいか、僕はその日のバイト帰り彼女を見つけた。喜びたかったが、彼女は数人のオトコにナンパされており困った表情をしていた。「やめろよ、彼女困ってんだろ。さぁ行こう」彼女の手を引いてかっこよく立ち去る。オトコ達は悔しい顔だ。なんて妄想しただけで僕はこともあろうにその前を通過した。情けない。この情けなさは世界一だな。と思った瞬間後ろから腕を捕まれた。「え!?」これまた情けなく驚いた。彼女は涙目で僕を睨んでいた。捕まれた腕が少し痛かった。オトコ達は僕の後ろ姿だけを見て諦めたようだ。モテないくせに身長だけは高かった。情けない僕でも少しは役にたったんだと一息ついた。彼女はいきなり僕の目の前に携帯をつきつけた。【ワタシの事覚えてますか?耳が聞こえないんです。素通りするなんてひどい】僕もごめんの文字を彼女に見せた。でも僕の心臓はまともじゃなかった。ドキドキが止まらない。僕の顔を覚えていたなんて、人生で初めての喜びだと言っても大げさではないだろう。彼女の顔は小さな口をとがらせ不満そうだった。おやつを取り上げられた子供みたいだ。僕は小動物を見たようでなんとも言えない愛しさを感じた。彼女はそれから自分のアドレスを手渡すと待ち合わせをしていたのか、友達と行ってしまった。そこには宮本優羽と名前が書かれていた。「ゆうは…」あまりにも早すぎる展開に僕はその場に1時間くらいぼーっと立っていた。



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