「あ、ごめ…。笑いすぎちゃった」
水嶋君は、黙って目を逸らさないでいる。
「?」
(何か、可笑しいかな?)
自分の髪や頬を触ってみるけど特に変わった事はない。
「水城ちゃん」
「はい?」
「水城ちゃんって、笑うとすっげぇ可愛い」
は?
「ななな、何言ってんの!?」
真顔で言われて私の顔は沸騰したやかんの様な熱を持つ。
(うわっ、やだ!絶対赤い)
「ぶ、部活戻らないと!」
その場にいても立ってもいられなくなった私は、赤くなった顔を見られないように踵を返し、走りだす。
途中で水嶋君が「ありがとね」って言ったのが聞こえたけど私は振り返らず、ひたすら体育館方面へ突っ走った。
なんなんだよぅ〜(涙)
戻ってからの私は正直、部活どころではなく、これ以上ここにいても皆の迷惑になると思い、早退する事にした。
帰り際、伊原が心配してくれたけど、さっきの水嶋君の一言が強烈過ぎて、昨日の事は頭から消え去っていた。
次の日、なるべく水嶋君と顔を合わさないように過ごす、私がいた。
向こうは何やら話し掛けようとしている様子だったけど、気付かないフリをして、阿部やんと話し込んでるように見せ付けた。