靴ひも 2

ルチスミ  2007-05-13投稿
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笑ってしまったのを隠すために俺は下を向いて、靴ひもを結んでいないことに気付いた。
結ぼうと屈むと、バスがブレーキを踏み、俺はバランスを崩しそうになった。
慌てて手摺りを掴み、立ち上がって気付いた。
バスのスピードが遅い。
どうやら渋滞に巻き込まれてるみたいだ。
外の犬に気を取られてる場合じゃなかった!
俺は運転手に頼み込み、その場で下ろしてもらった。
結局、靴ひもを結び直さずに。

車の間を抜け、歩道をひたすら走った。
もう息が続かない。
でも、早く行かなきゃ。もうすでに遅刻なんだ。
今回ばかりは、愛想つかれてしまうかも。

途中でやっぱり、走り続けることが出来ずに両膝に手をつき下を向いた。
あ、靴ひも…と思ったが、そんな時間があるなら、走ろうと思った。
早く彼女に会いたい。笑顔が見たい。
一瞬でも、一秒でも早く。

待ち合わせ場所の時計台の前のベンチに座って、彼女は腕時計を心細げに見ている。
「おーい!!」俺は、疲れた体を振り絞って大きな声で彼女を読んだ。
目を細めて、俺を見て、俺だと確認した彼女は唇を尖らせて、こちらに向かってくる。

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