「奈緒、今日は朝まで一緒にいたい。」
健吾はそう言うと、奈緒の肩を抱き寄せた。
付き合い始めて一ヶ月。
キスもたくさんした。
お互いの事もだいぶ解ってきた。
「うん。」
奈緒は健吾にキスをした。
2人、手をつなぎ、ラブホテルに入る。
先にシャワーを浴びた奈緒がバスルームから出てきた。
「俺も浴びて来る。」
「うん。」
正直、奈緒は、乗り気ではなかった。
あれからも、ずっと哲也の事ばかり考えていた。
哲、どうしているかな…。
元気かな…
少しは、私がいなくて寂しいと思ってくれてるかな。
あの日、哲の私に対する気持ちが、少し解った気がした。
私のいった言葉に対して、怒っていたという事は、哲も、全く体だけを求めていたわけでは、なかったのではないか。
でも、哲は、それを言葉にしなかった。
多分、私と同じ考え…
2人の関係が壊れるのを恐れてた?
でも、結果、今も壊れたよ…
哲……
どうせ壊れるなら、一時でも、私は哲の恋人になりたかった。
でも、それはもう叶わない願い…
健吾に抱かれる事で、哲への想いはかき消せるって思っていた。
なのに……
何度、セックスしても、健吾の愛を感じても、私は満たされない。
私、どうすればいいの?
12月
健吾が、一人暮らしを始めた。
奈緒は、週に何度か泊まりに行くようになっていた。
「健くん。コンビニ行こっ。お茶買いに。」
2人は歩いて、コンビニへ向かう。
「いらっしゃいませ。」
そこにいた、店員は哲也だった。
「…て…つ…」
哲也も奈緒に気がつく。
「よっ。哲也!このこ、俺の彼女の奈緒。」
えっ…??
「こっちは、大学のサークルの後輩の哲也。…あれ??知り合い?」
「…う…ん…」
奈緒は動揺を隠せない。
哲也が口を開いた。
「高校ん時のクラスメイト。久しぶり。奈緒。」