ヒカル2

マサト  2007-05-15投稿
閲覧数[558] 良い投票[0] 悪い投票[0]

《出発》
「お疲れさん!さっきヒカル宛てに手紙があるってお前の母ちゃん言ってたんだけど…」とショウは帰ってきたヒカルに少し疲れた様子で言った。「ああそう。なんの手紙かな。」とこっちも少し疲れた様子でヒカルは答えた。
ヒカルは疲れた顔で小走りで家に向かって走りだした。ショウは好きなチョコを食べていて、ヒカルが走り出すときにもう一つ持っていたそれを投げ渡した。 ヒカルはチョコの甘さに少し疲れがとれたように感じた。 「母ちゃんただいま!手紙が届いたってショウにさっき聞いたけど…。」
ヒカルの養母は、目をあわさずヒカルにそっと手紙を渡した。《出発》と黄土色のザラザラした紙にそれだけ書いてあった。
「ついに来たんだ…。出発…。」となんとなく天井を見上げながらつぶやいた。その表情は、青ざめながら、微笑んでいた。養母は泣きはじめていた。「母ちゃん…今まで本当にありがとう…。今から僕は本当の故郷に帰り、そして発つんだ!」そう言ってヒカルは笑った。
ヒカルは対闇教団の中でも光の力という貴重な力を持っていた。期待されていたヒカルは、大きくなるまでにやられないように、ムスト共和国の中で一番安全と言われていたカコ村に送られたのだ。 対闇教団本部は、対闇兵器の卵達を、他の町、村に預け、育てさせ、そして大きくなったらその町を守らせる、という作戦が昔から実行されていた。
ヒカルはその作戦対象者の一人であり、他にも多く存在するが、ヒカルは光の力を持っているため特殊な《出発》という作戦の対象になった。《出発》対象者は対闇教団兵器達の十分の一ぐらい。直接魔族討伐に行かなければならないのだ。
村の唯一の出口にショウや、ヒカルの家族、友達、小さな学校の先生もいた。 「1年ぐらいすれば帰るから!絶対!」とヒカルは笑って言った。「まあお前なら大丈夫と思うよ。がんばれよ!」とショウも笑って言った。
「じゃあ行って来ます!」元気よくみんなから見えなくなるまで全力疾走した。養母とは結局別れの言葉を交わさなかった。母は、泣き崩れていった。
「ハァ ハァ…なんか実感無いな…ちゃんと対闇教団本部に着くかな…村から出たこと無かったからな…」とつぶやきつつ、ひたすら歩いた。すると特徴的な、真っ白のお城みたいな建物を見つけた。 「あれか…でかいな…。」ヒカルは城に入っていった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 マサト 」さんの小説

もっと見る

アドベンチャーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ