「河童っていうのは、河に住む妖怪じゃ。人やら馬やらを引きずりこんじまって、しりこだまを抜き取るんじゃ。しりこだまを抜かれたら、死んじまうんだで。しゃーから、おめぇらも、河に近づくんじゃねーぞ。特に夜にはじゃ。わかったな。ほしたら、じいちゃんはちょっと、畑に行くからの」
俺達は、じいちゃんに手を振って別れた。
「武蔵、これからどうする?俺達、何もすることねぇべ〜」
「そうだよ。何もないよ〜。武蔵、何かおもろいこと、考えてくれよ」
「何言ってんだべ。俺達がやることは、さっきじいちゃんが言ってた河に行って、河童を見るんだよ。さっ、行くべ」
そう言って、俺はチャリにまたがり、河に向かった。
今は、夏真っ盛り。そんで俺達は、小学四年生。おまけに、ここはど田舎。そしたら、やることは決まってる。河やら、山やらに行って、大はしゃぎして、くったくたになって帰ってきて、母ちゃんが作ってくれた、うまいご飯をたらふく食って、そんで、夏休みの宿題なんかせずに、朝まで爆睡。ほんで、また冒険に行く。その繰り返しだ。幸せな日々が続いているのは、俺達が子どもだからだ。大人になっちまうと、今みたいに遊べねぇ。
とことん遊んで、思い出を作っておこう。続