2人の少女と光と闇
ヒカルは戸惑っていた。「これが故郷…。俺はここで生まれたのか…」
「あなたがヒカル君ですか?」と深く吸い込まれそうな眼をした少女が聞いてきた。隣には目を合わさない愛想のない少女もいた。「俺がヒカルだけど。君は?」とヒカルは問う。「私はエミリア。私はあなたのパートナーになるのよ。そして隣の子はリリって言うの。案内人として来てくれたわ。」とエミリアはヒカルの眼を見つめながら答えた。
「パートナー?実は俺《出発》の手続きとか分かんないんだけど…。」とヒカルはエミリアの眼に吸い込まれそうになりつつ言った。
「じゃあそんなヒョロ剣なんか持ってないでこれを使いなさい!」とリリは初めて口を開き、持っていた立派な剣をヒカルに投げよこした。「ありがとう。」ヒカルはそれだけ言った。
「じゃあ行きましょうか、ヒカル。」エミリアが言った。 「待てよ!もう行くのか?早すぎないか?」とヒカルは焦った様子で言った。 「もうここにいる意味がありませんから…。早く行きましょう。」とエミリアは言った。「自己紹介ぐらいはしようぜ?まだお互い何も知らないから…」とヒカルは言った。
「…そうね。ヒカルは私達の事知らないものね。自己紹介しましょうか。ちなみに私達はヒカルの事を知っているからアナタの自己紹介は不要よ。」とエミリアは言った。「私はリリ。自然魔法を操る魔女よ。」「私はエミリア。物理魔法と、少し闇魔法を使える魔女よ。」とリリとエミリアは順に自己紹介をした。
ヒカルはリリに軽く会釈を交わして2人は城から出て言った。
2人は全く言葉を交わさず、城を後にした。
その時、バスケットボールぐらいの大きさの黒い球形に腕が2本生え、腕には爪が生えていて、宙に浮いていた。それが6体現れた。
「早速ね。」とエミリアは言った。
ヒカルはさっき貰った剣で魔族に斬りかかり、2体を一瞬で撃破した。しかし他の3体が攻撃をしてきた。
「リジェクション!」というエミリアの声と共にヒカルの体が黄色く光り、魔族がヒカルに触れた瞬間、魔族は弾かれ、吹き飛んだ。吹き飛んだ3体に近づき、斬り倒した。
残りの1体に、エミリアは「グロウ!」と魔法をかけ、球形の魔族を黒い煙が包んだ。闇魔法らしい。
その煙が晴れた時には、魔族がヒカルの背の倍ぐらいになっていた。
そしてエミリアはその魔族の近くにいた。