ヤス#50
「ダメよ、危険過ぎるわ…お父さんに相談しましょう」
「信じると思う?」
「あ…はあーっ…そうね…」
その夜、ヤスは、久しぶりに母に抱かれて眠った。
【シット】
「ぅぁはっはっ…純子もヤスも馬鹿は…おっと…ヤス。馬鹿はヤスみヤスみ言うもんだ。どうだ、上手いダジャレだろう?ぅぁはっはっ」
「お父さん!信じてくれないの?」
「純子まで言うか!いい加減にしないと許さんぞ!」
純子とヤスは黙り込んでしまった。祖父の森一が見かねて口を挟んだ。
「賢三さんよ、そう、頭ごなしに言わんでも良いじゃろう」
「爺さん、まさか爺さんまで、その妖怪かバケモノかわからんヤツを見たとでも言うのじゃないだろうね」
「あいや…ワシが知るのは伝説だけじゃて…」
「良いか、純子、ヤス。島の人間には言うなよ。親子で気が触れたと思われるぞ。俺もせっかく仕事が決まったんだ。決まった仕事もパァになってしまう」
純子とヤスは肩を落として納屋にいた。
「お母さん。言った通りだろう。誰も信じないよ。でも、お母さんが、俺の事を信じてくれた事は嬉しかったな…へへ…でも、とんだ災難に巻き込んでしまったね。ごめんなさい」