ナイト・オン・ドラグーン【宿敵・不吉な前兆】102話

みるく  2007-05-17投稿
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『な、なんだよこれ…』

降り立つ先の戦場と化していた中庭は壮絶な光景が広がっていた。

転がる兵士達の骸はもちろんなのだが、仲間三人の姿が見当たらない。

辺りを見渡す。

『アイン!』

マナの声が遠くから響いた。
その声の方に駆け寄る。
マナがリオを抱え、座っていた。

『リオ!無事か!?』

閉じていた瞳が開き、リオを覗き込む。

『アインさ…ん?あはは…ドジっ…ちゃった…ぅ』

『リリーナとゴンザレスは!?』
どこを見渡してもやはり二人の姿だけは確認できない、最悪の事態が頭を過ぎったが…考えたくもない。
しかし、二人の名を聞いたとたん。

リオの瞳に涙が溢れた。

『竜眼の男が…現れて、ゴンザレスがあたしとリリーナを庇ってっ…殺された…』

『な…!?』

絶句。

殺された…という言葉が響いてくる。

『リリーナは!?』

『竜眼の男にさらわれた…。あたし…あたしっ…なにもできなかったっ…誰も守れなかった…!』

腕の中で泣き震えるリオをマナは抱きしめた。

『誰もあなたを責めたりしないわ、生きていてありがとう…』

『マナお姉ちゃんっ』

泣きじゃくるリオを更に強く、優しくマナは抱きしめた。

愛しい我が子を愛する母のように。


『行こう、リリーナを助けに…ゴンザレスの仇討ちに』


アインは立ち上がり、レグナを呼んだ。

『だからリオは待っててくれ』

不意にリオがアインの裾を掴む。

『だめ…あの男は危険過ぎるよ…いっちゃだめ。アインさんまで死んじゃったらあたしっ…』



『大丈夫だよ、だから心配しないで必ず生きて戻る』

微笑み、振り返った。既に舞い降りていたレグナへと駆ける。マナ!と横目で促す。

『ええ行きましょう!リリーナを奪い返しに』


地面から遠ざかり、風景はまた空の中へと変わっていった。


戦いは終わったはずだ、前から何度も耳にし、錆の町で出会った”竜眼の男”


『竜眼の男…!』

そのあざ名をもう一度アインは口にした。


しかし、青いはずの空は妙に赤かった。




世界滅亡まで12時間…



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