…俺は驚きに言葉を失った。
それが事実なら、とんでもない事件になる。
この時代のほとんどの人間が、彼女の働きと功績に[心酔]に近い敬意を持っている。
老人から彼女の失踪後に産まれた子供までだ。
科学者として、政治家として、彼女は偉大な功績を残した。
そして謎の多い人物ながら宇宙連合政府第一代議長として、支持率98%を叩き出した。
今でも彼女を敬愛する人々は多い。
もし彼女が生きていて、再び表に出てくるような事があれば…今の連合政府は引っくり返るだろう。
「あ、でもね、彼女から送られてきた設計図も、彼女本人からの物かどうかは確認出来なかったらしいし。艦が残されていた場所にも少なくとも数年は人が立ち入った形跡はなかったみたい。
だから彼女が今も生きてるかどうかはわかってないのよ。」
しかし…[可能性がある]というだけでも十分に事件になる。
と、そこで重要な事に気付いた。
「…ちょっと待ってください…。
それってすんごい機密事項なんじゃないんですか?」