よくもまぁこんな嘘をついたもんだ。お陰で俺は本当の一文無し…そう思っていた。今日までは。
『タイムストッパ』…一箱に五錠入っている錠剤である。
説明書きによると…まさに夢の薬!?一錠飲むだけで一度だけあなた以外の時間を止める力を得る事ができます。是非お試しあれ。
第一章
俺様はIT企業のエリート社員…だった。貯金なんてしなくても月給で車すら買えた。
そんな上がり調子の俺を羨み、憎んでいた上司がいたらしい。
どんな理由かも聞かされず、俺はいきなりクビを言い渡された。
貯金なんてせずに毎晩金をばらまくが如く遊んでいた俺…
今さら貯金しておけばよかったと本気で思った。しかしすでに遅く、生活は一変して貧乏生活へと変わった。
なんとか支払えた今月の電気代。パソコンを覗き、インターネットで必死に職を探す。
これを毎日のように繰り返した。刺激のない日常にだんだんと不安が生じ、やがては怒りに変わっていった。
そんな時だった。
いつものようにパソコンを開き、メールを確認していると、ある一通のメールが彼の目を止めた。
日常を止めて変える奇跡の薬、『タイムストッパ』
俺は迷わずそのメールをクリックした。