「それには何か書いてあるの?」
僕が聞くと裕貴は手渡しながら呟いた。
「読んでみて下さい」
高木が隣に近付いてきた。
【1月1日】
今日は初詣でに行ってきた。その帰りにあの話になった。
去年から調べているが、まだ何も掴めない。やっぱり噂は噂なんだろうか?
明日、また写真機に言ってみよう。
【1月2日】
白い物って事で、思いつく限りの物を持ってきた。
しかし変化は無い。やっぱり、写真が変化するって事は無いんだろうか?…
…
彼も色々と検証していたらしい。この後の日記にも、多くの実験した結果が綴ってあったが、どれもうまくいかなかったようだ。
「やっぱ、噂は噂だったんですかね?」
高木は、大きく背伸びして言った。
しかし、彼は何かを掴んだと高木に言っていた。それを試してみるとも。
再び日記に目を通した。
【4月26日】
A駅の辺りは昔、祠みたいな物があったらしい。何を奉っていたかはまだ分からない。
その当時の事を知っている人が、T県Y市の宮司さんらしい。
関係あるかは分からないが、次の休みに行ってみよう。
ただ不思議なのは、この噂が出始めたのは、3〜4年前。最近の事だ。
何十年も前の祠とか関係無いと思うけど。
高木と目が合った。
「なぁ…どう思う?」
「どうって。何がですか?」
お互いに主語が無い。と言うよりうまく言葉に出来なくなっていた。
何が?分からないと言うより知れば知るほど、謎が増えていく。
「取り敢えず続き見るか。」
気のせいかページをめくる指が重い。
【5月3日】
今日は天気が良かったんで、バイクでT県に行った。
町の人に聞くとすぐに場所は分かった。
神社につき宮司さんに会いに行くと、一昨年に亡くなったらしい。
息子さんに話を聞くと詳しくは分からないが、イザナギ・イザナミを奉っていたらしい。
それ以上の事は、分からないらしい。
この事はあの噂に関係あるのだろうか?
ここから数日間の日記は白紙になっていた。何があったのだろう?
「裕貴君は何か聞いて無いかな?」
「聞いては無いけど、兄ちゃんはある日突然部屋にこもるようになって。」