「よし。居なくなったな」
博士は玄関の方を見て、ふぅと溜息を付いていた。まるで先までの怒りが嘘のように、パッと顔が戻り、僕を掴んでいる手を離した
「博士…?」
僕は混乱した、一体何が何だが。そんな僕に博士がこっちを向いた
「ディオ!」
「あっはい」
博士の呼び掛けに只答えるしかないほど、僕は混乱していた
「お前が俺を心配する気持ちは、解らない訳じゃない。だがな…」
また博士は真剣な顔をして僕を見つめた
「俺はこうなる事を知ってて闇金に手を出したんだよ。あいつらがしているのは、当然の事で…そしてこれは俺への当然の報いなんだよ」
「…博士」
「だからあいつらの好きなようにさせておけ、あいつらも俺から金が取れなく成ったら、適当に俺を手放すだろう。それに金は返せるだけ返したんだしな…筋は通したさ」
博士の話を聞き、僕は何も言えなかった。そして僕はある疑問に気が付いた
「博士…一つ良いですか?」
「ん?何だ、ディオ?」
不思議しそうにしている博士に向かって、僕は一息付いて思い切って聞いてみた
「博士が…博士が闇金を使ってまで、成し遂げたい物って何ですか?」