今の僕のこの姿を見た人はきっと頭のおかしい奴だと思うに違いない。でも僕だって好きで携帯と2時間もにらめっこをしてるわけではないさ。
晴れ晴れとした日曜なのに僕は部屋の真ん中でただ無駄なため息をつきながら携帯を見つめていた。
「ゆうはさん・・ゆうはちゃん・・?ゆうは・・呼び捨てはマズイか・・」
数学より難しいじゃないか。女の子にメールを送る事がこんなに緊張するなんて・・彼女がいなくて正解だ。緊張のしすぎで身が持たないだろう。
文字を打ってはクリアボタン、その動作を2時間も続けられるのはきっと世界で僕だけだな。つまらない自信が余計に情けなかった。その時クリアはないものとして考えよう。と思いついた。クリアできない、人生はクリアが効かないんだ。
【ゆうはちゃん、この前は素通りしてごめんなさい。メルアドありがとう。】
これだけで十分だろう。送信ボタンを選択したまま、3分が経過し僕はやっと送信ボタンを押した。その時に何故目をつぶっていたのかは覚えていない。