「やってもいいかなぁ?
俺、童貞なんだよねぇー」
敬がにやけながら快に提案する。
「止めとけよ。マジで摩羅様にバラバラにされるぞ・・・」
「冗談だよ♪
何マジになってんだよ〜
俺がやりたい相手は摩羅様ただ一人!!」
敬は快をからかいながらも顔は至って真剣だった。
「あなた達・・・一体何なのよ・・・」
佳奈美は怯えて後退りする。
「冗談はこれくらいにしてさっさと殺るとしますか。」
敬はそう言うと腕を刀へと変化させた。
敬の眼は理性を失った危ない輝きを放っている。
その光景に佳奈美は絶句し、言葉を失う。
「いくぜぇ・・・あっちでまた会おうな。」
グサァ
敬の刃が佳奈美の胸に突き刺さる。
ズズっと腕を引き抜くと佳奈美は力無く倒れて、血が溢れ出し灰色のアスファルトを鮮やかな紅に染める。
眼は光を失い、口は半開きになって恐怖の表情を浮かべている。
「なぁ敬。」
快は倒れた佳奈美の髪を撫でている敬に尋ねる。
「この子にさっきどんなメールを送ったんだ?」
この問いに敬はこう答えた。
「《だから言っただろう?殺されるって。その顔に免じて首じゃなくて心臓を狙ってやるよ。》って送った。」
真相を聞くと快はこう言った。
「その顔に免じてか・・・確かにそっくりだもんな・・・」
もうここには彼等の姿は無い。
ここにあるのは冷たくなった佳奈美の体と紅い血。
そして喪に服した様に黒い夜の闇だけだった。
そして彼等は戻った。
彼等のいるべき世界へと。
現世編‐終