彼は…物忘れが激しくて。彼女には…ちょっとした秘密がある。
第一話 キャンパス
風がサワサワ吹いて、空は真っ青でとても静かな太陽。
春なのにまだコートをきている人もいれば、もうキャミソールの人もいる。
「ふぅ…」
鹿角流音カヅノハルネは日陰のベンチによいこらせと座ってまだ終わってないレポートを広げた。
都会でも、この大学は静かで空気がおいしい。
「流音!!もう授業始まるよ??」
一人、キャミソールの子が話かけてくる。
「美砂!!ごめん。ちょっと疲れて休むから遅れるって先生に言っといて??」
「また疲れたの??なんか最近よく疲れてない??大丈夫??」
「平気。ほら、授業始まっちゃうよ!!」
流音はそう言うとまたレポートを書き始める。
「わかった!!じゃあいっとくから休んだらすぐ来るんだよ??」
美砂が走って建物に入るのを確認してから、流音は軽く咳をした。