素敵な恋の見つけ方2

あこん  2007-05-21投稿
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「あぁ、ボーイミーツガールですらないのか。」
不意に口からでた言葉は、アスファルトの地面に染みるように消えた。
俺の名は片桐篤。随時恋人募集中だ。
ワイシャツピローン事件の後、ちょっと落ち込んだりもしたが、もう復活した。強い印象を彼女達に残したと考えれば何も恥ずかしく感じることはない。なんてポジティブ。
「フラグは立った可能性があるな。」
俺の隣りを歩きながらオタク用語を織り混ぜて語る色男は久保匠。なんの因果か一般人な俺の友人。
高校生の分際で年齢制限のあるゲームをする違法者だ。
「さぁ、恋を探しに行こうか。」
「む、照れが消えたな片桐。」
「今の俺に怖い物はねぇぜ。」
あと数日はこの強気も持ちそうだ。
「というわけで、二次元限定だがジゴロの久保。」
「今時ジゴロなんて言うんだろうか。」
「いいんだよ。…女の落とし方を教えてくれ。」
「ふむ、そうだな…選択肢を選ぶ前にはセーブを」
「ごめんやっぱいい。」
久保が言い切る前に話をやめた。こいつは当てにならん。
「ならば極論を言おう。」
「あぁ、適当に覚えとくよ。」
「優しく接するんだ。」
「そ、そうか!?」
当たり前のことだが実践するのは難しい。だが簡単な答えだっただけに失念していた。
頼りになるぜ久保匠!
「とにかく優しく、下手に。理不尽な事も認めろ。」
「よし…って一歩間違えりゃダメ男じゃん。」
「疑うな、疑った時点で事象は全て不可能になる!」
ああぁ、もう。すぐに話が別次元に飛ぶんだからなぁ。
「落ち着け久保。まだ通学路だ。」
軽く久保を揺らしてやればなんとか戻ってくる。
「ふふっ、助かったぞ片桐。危なく持っていかれる所だった。」
何が、とは訊かない。どこに、とも訊かない。
「積みゲーを処理する前に倒れては元も子もないからな。礼を言うぞ。」
「あぁ、適当にしてくれ、もう。」
本当に、俺は彼女探しよりもこいつとの縁の切り方を探した方が良い気がしてきた。
「そうだ、勉強がてらやってみるか?」
「なにを?」
「エロゲ。初心者用。」
「いらん。」
即答した。まずパソコンがない。そもそもやる気がない。
ってか初心者用って。
「いや、それでは俺の気持ちが落ち着かん。そうだ、明日からは全力でお前の恋人探しをサポートしよう。」
あ、今まで適当にやってたのね。
まぁ他人だし当然か。

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