本当の実話【6】最終話

真希  2007-05-22投稿
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外へ出て、友達に電話したが繋がらず、仕方なく両親に電話をした。
電話に出た母に全てを細かく話すと、親戚の同級生の家が、お寺だという事で、とにかく帰ってくるように言われ、彼に了解を得て実家に向かった。

実家に着き、すぐに親戚の家に向かい御寺の住職に会う事ができた。
住職は私を見た時に優しく微笑み、手招きをして大きな大仏様が置かれた、和式風の部屋へ私を通した。

「話をしなくても分かるよ。困っているんですね?」

と、私の隣を見て優しい口調で住職は言った。
優しい住職の声とは裏腹に、何かがいるのだと確認した私は、更に恐怖した。
住職は次に私の瞳を見つめ、こう話した。
「最初に見た時、怖いと思った。が、可哀想という感情を持たなかったかい?」

そう。最初、台風の大雨の中、傘もささずに濡れて泣いている女の子を見て、怖かった…でも、可哀想だと思ったのだ…。

「彼女は、自殺をしたようだ。風呂場にお湯を溜め、手首をカミソリで縦に深く切りつけて…地上に未練を残して亡くなった為に、道で立ちすくんでいた時、たまたま君が通った…」

可哀想だと思う念が、彼女を連れてきてしまったらしかった。
それから、部屋には蝋燭が立てられ正座をして住職が、私の後ろで何か呟きながら歩いていたのは、覚えている。
なぜか、意識が朦朧としてしまい最初の5分くらいしか、覚えていない。
目を覚ますと、大仏様の前に寝かされていた。
住職は、もう大丈夫だと言ったのだが。
それから、今までベッドが動く事は2度程あった。

でも、なぜか怖いとは思わなくなっている。可哀想な女の子だと思ってしまうからだろうか。
あと2ヶ月後には、この部屋を出て引っ越す予定だ。もし女の子が未だに、まだいるなら女の子は、この部屋に残るのだろうか。
私に付いてくるのだろうか。

引っ越しても異変が起きるようなら、また住職に会いに行こうと思っている。 終わり



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