涙なんてもう出ないと思ってたのに
キッチンの戸棚から取り出したお弁当箱を洗いながら、気付いたらポツポツ涙があふれてた。
このお弁当箱を使ってあげたのはたったの一度だけだったね。
あの朝の笑顔を、
あなたはもう忘れたかな。
人の記憶はあいまいで
そのくせ感情だけは
まるで波のように
ひいては戻る
そして、いつだって
そこからあたしを動けなくする。
思いどうりにならない毎日にもがいても、それでもあたしはこの手を伸ばし続けるよ
西日のあたるこの部屋で
この場所に
あなたが居ても、居なくても。