素敵な恋の見つけ方7

あこん  2007-05-24投稿
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「男ばっかでムサいなぁ。」
比較しての感想は、誰の耳に入ることもなく虚しく響く。
俺の名は片桐篤。恋愛という難題に行き詰まった高校一年生だ。
さらに言うと窮地に立たされている気がする。
「まぁ俺に任せておけ。ドラマチックな恋の始まりを予感させてやる。」
隣りで何かを書いたルーズリーフの束を確認するように読むオタクは久保匠。
俺のフラグを立てるとかで朝からずっと何かを書いていた。その束は30枚を超えそうだ。
「ではこの緻密な作戦を簡単に説明しよう。」
「あぁ、適当に頼む。」
もう最初からあまり当てにしていない。
「曲がり角で出合い頭にぶつかるんだ。」
「…。」
「…。」
「え?続きは?」
「これが全てだが。」「その束はなんだ!一枚に一文字か、あぁ!?」
久保が持っている紙束をはたき落とす。自然とその全容が見えるのだが。
…なんだこの複雑な計算式は。
「女子にぶつかる確率、フラグが立つ確率、消化できる確率等を総合したものだ。」
そんなものが計算で出せるのか。
「只どうしてもゼロに近い数値が入る為にかなりの低確率だが、他の案よりはまだましだ。」
「…なんか非常に不名誉な事言われそうだからそこは追及しないがな、そんな安易でいいのか?」
久保は俺を睨み付け、自信たっぷりの口調で話す。
「お前は生涯、女子と事故的にぶつかったことはあるか?」
「いや、ねーけど。」
「そう、実は滅多にそんな事はない!」
「普通に考えてもないぞー。」
「だからこそ、正面衝突はインパクトがある。実際に衝撃もある。」
下らない事を言わんでくれ。反応に困る。
「怪我でもさせてみろ、お見舞いフラグが立つではないか!」
「やかましい!」
怪我させたら後ろめたくて会話もできん。
「というわけで行くぞ。」
「え?いや、俺に拒否権は無し?」
「大丈夫、俺の計画は完璧だ。」
襟を掴まれてズルズルと引っ張られる俺。
「ま、待て!偶然を装ってぶつかるのはいいが」
実の所良くないが、
「どこでやるつもりだ?うちの学校の廊下、果てしなく真直ぐだろ。」
「案ずるな。階段付近に曲がり角というものは自然発生する。」
待て。本気で待て。
「危険だろそれは!」
階段は危険だ。下手をすれば死ぬ。
俺はまだ前科持ちになりたくない。いや、まだとかじゃなくずっと。
「せめて転んでも安全な所で!」

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