目が覚めた。
隣で眠ってる大切な人。
まだ外は暗くて、鳥の声さえしない。
小さな寝息をたてて眠る君を、優しく抱き寄せた。
首筋から香る甘い匂い。
髪から香るシャンプーの匂い。それが大好きだった。
その匂いを嗅ぐと、最高の安心を感じた。
眠るくらいの。
朝、目を覚ますと腕の中に君がいない。
それは、手の中にある大切なものがすり抜けてしまった感覚。不安が押し寄せ、飛び起きて辺りを探した。
そこにはいなくて、急いでキッチンまで行く。
後ろ姿の君は、まだ僕に気付いてない。
彼女の側へよると、強く抱きしめた。
不安はすでに消えていた。
そして君は、僕の頬にキスをした。
その時僕は、大きな幸せを知った。
僕のベッドには、柔らかい抱き枕がある。
君はそれを知って、僕にこう言った。
「抱き枕を抱いて寝る人は、寂しい人なんだよ。」と。
確かに僕は寂しがりかもしれない。
でも今は、寂しくなんかないよ。
隣に君がいる。
ずっと。