素敵な恋の見つけ方10

あこん  2007-05-25投稿
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「由良が前作より暴力的なのは仕方が無い事なんだ。」
言わなきゃ良い事を言ってしまって、周りに誰もいないのを確認して安堵する。
俺の名は片桐篤。上には上の変人がいることを身を持って実感した高校一年生だ。
「ほう、今度はそんなことが。」
楽しそうに話を聞く変人その1は久保匠。最近出番が取られてるな。
「そんなことが起こるので、出合い頭ドカン作戦は中止にしてくれ。」
「そんなネーミングにした覚えは無いがな。まぁいいだろう。別の案を出せば済む事だ。」
というか次もまたあの人にぶつかる自信がある。今度は確実に殺られる自信もある。
「まぁ、他の考えは様々なデータを取ってからだな。すぐには無理だ。」
「そうしてくれ。今日はもう疲れた。」
これ以上恐怖を感じたら心臓止まりかねん。
「夏休みも近い事だし決めてしまわねばな。」
「そうか、夏と言えばいろいろあるもんな。」
海とか、祭りとか、一夏の経験とか。
「あぁ、とても忙しいからな。サポートが不十分になる。」
…いろいろあるのはお前の方か。
「ん?付いてきたいか?」
「遠慮しとく。」
かなり警戒しながら廊下に出て、玄関へ向かう。
さっさと帰らなければ命の危機だ。
「スネーク?」
壁伝いに歩く俺を不思議そうに見る久保。そうか、お前から見ても今の俺は不信か。
「そうだ片桐、これをやろう。」
久保が取り出したものはお菓子の袋だった。なんか見覚えがあるな。
「笠木がくれたんだ。珍しいぞ、あいつが他人に自分の菓子を分けるなんてな。」
「え?お前が食えばいーじゃん。」
「俺は既に食った。これはお前のだ。」
あぁ、今俺の中で笠木の株が急上昇中だ。放課後の惨事を忘れるくらいに暖かい気持ちになる。
まぁ、間違えても男には惚れないが。
「さぁ、帰って積みゲーを処理せねばな、片桐。」
「俺は積んだ覚えはねぇ。」
笠木ならまだしもこいつには絶対に惚れん。

「はぁ、今日は散々だったな。」
久保と別れ、一人家路に就く。
大変だったが、視覚的には満足だ。あんな美少女を見たんだからな。怖いけど。
目の前を女子生徒が歩いている。
「そうそう、あんな背格好で…。」
血の気が失せるのがわかる。サァッと青ざめる音まで聞こえた気がする。
目の前の美少女が若干不機嫌気味に振り返った…。



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