「はいっ!」
彼女は嬉しそうに先に立って歩きだした。
隔壁を抜けると広い空間に出た。
「おはよう、ツバサ君♪
よく眠れた?」
正面に立っていたアリアが小さく手を挙げる。
「…おかげさまで大変ぐっすりと眠れましたよ…。」
嫌味を返すと、うぐっ、とのけぞる。
「軍曹、すまなかったな。艦長には私が昨夜キッチリミッチリネッチリ言い聞かせたから、許してあげてくれ。」
脇に居たジョカが、言いながら近付いてきた。
…成程、アリアの顔にははっきりと疲労の色が見える。
よっぽどコッテリ絞られたのだろう。
少し溜飲が下がった。
「ゴメンね〜。
ワザと黙ってた訳じゃないの。
許して〜。ね、ね、ネ♪」
手を合わせて拝むように頭を下げてくるアリア。
上官にここまでされて、“許さない”って訳にはいかないだろう。
「わかった!わかりましたから、それやめてください!」
俺が言った瞬間。アリアの顔が輝いた。
「ホント!?ありがと〜!」
無邪気に喜ぶアリアをしり目に、ジョカが真剣な顔になった。
「で?君はどうする?
原因が原因だ。君が望むならこの話はなかった事にしてもいい。」