「私は行きます。もう一度、閣下のもとで戦います。…決めたんです。あの人は……また私を必要としてくれたから」
彼女は兵器だった。
一度は壊れて捨てられた兵器だった。
戦うことを忘れた兵器だった。
…彼女はあの頃普通の女の子だった。
*
「それでいいの」
愚かにも僕は彼女にそう言ってしまった。…それでいいに決まっていた。彼女にとって親であり、また敬愛すべき軍団長閣下は彼女の世界のすべてなのだから。「いいんです。……寂しくないと言ったら嘘になっちゃいますけど、でもやっぱり…閣下のために戦いたいから」
閣下と僕。君はどっちが必要? 大切? …そんなことを尋ねたら君は困った顔をするだろう。そして最後には笑ってこう言うんだ、『どっちも大切です』と。「……行かないで、と言ったら? ここでずっと僕の使用人として働けばいい。……本当は…失いたくない。手放したくなんかない。傍にいてほしい……―――君に」
僕のエゴだった。全部、全部僕の身勝手な感情。自分のことしか考えていない。だから君はあんな悲しそうに初めての涙を見せたのかな。
『私だけ、が…平和に暮らすことなんて、できな、い…』