「それ僕の携帯だよね?あれ?」
ほのかは何くわぬ顔で机の上に戻した。
「部室に忘れてあったよ」
幸四郎はどうにも腑に落ちない顔で次の質問をした。
「このストラップの意味は?」
ほのかは自分の所業を恥ずかしく思い、顔を赤くしてしまった。
これを幸四郎はさらに誤解してしまいほのかに例の話を切り出せなくなってしまった。
「み、宮岸くん」
ほのかはさらに笑顔で幸四郎を見つめ返した。
「あーーーっ、あの、今日、お昼、一緒に、食べようか」
出てきたのは真実を聞くにはあまりに関係のない言葉だった。
午後、科研部部室に幸四郎は居た。
「ははははっ!寝込みを襲われたか!!や、確かに責任とらんとな!」
なにやら透明の液体を混ぜ合わせながら科研部長は愉快そうにとりあった。
「まさか宮岸くんから!?いやまさか〜!!」
ビーカーから試験管に液体を移しながら科研部長は戒めた。
「バカ〜、ああいうおとなしそうな娘ほど溜まってるもんさ」
幸四郎は何を言われてもほのかからそういうことを仕掛けてくるとは到底、思えなかった。