〈ハートにひびが入る程 素敵な海を探す物語〉
これは こんなに綺麗で心暖まる詩を歌っているバンドに出会った時の物語です。
思い起こせばもう十何年前、その頃の僕はバリバリのパンクバンドをやってました。それはもうシドヴィシャスを気取って腕を切り刻んで血を流しながらギター弾いてました。基本的にはカバーばっかり演っていたのですが、ある時から魅力的なバンドがいなくなり、うなだれてました。どうしたものかとメンバーが じゃあ来週までに一人一枚かっこいいCDを持ってこようと言い出しました。その帰りレコード屋に寄り、何となく名前を聞いた事のあるバンドのジャケットを見たりしてたのですが どれもこれも似たり寄ったりで魅力が出るどころか溜め息しかでません。そんな時、何の気なしに手に取ったCDがありました。そのジャケットは よく遊園地にいる犬の着ぐるみの顔のアップで頭にはハーレー系のバイカーがよく着けているゴーグルを装着していました。裏面の曲目を見ると最後の曲に《悪い人達》というのがありました。刺激に飢えていた僕は なんてストレートなタイトルなんだ。てかどんだけ悪いんだ!?と思い、即お買い上げ!早速詩を見ました。衝撃です。凄いです。〈悪い人達がやってきて みんなを殺した 理由なんて簡単さ そこに弱い人達がいたからさ 女達は犯され 老人と子供は燃やされた 若者は奴隷に逆らう者は一人残さず皮を剥された〉
悪過ぎです。そしてコンポにCDを入れて最後の曲を選曲して再生!再び衝撃です。どんだけ激しい曲かと思いきやなんとバラードなんです。アコースティック風な前奏から始まりました。その後歌が始まると三度目の衝撃です。なんと語り口調風なんです!前述した詩にアコースティック調の演奏に語り口調風の歌!なんかある意味感動しました。しかしこの曲 最後の方では悪い事ばかりではありません。〈日傘をさして歩いている女の人は妊娠中でお腹の赤ちゃんはきっとかわいい女の子さ〉