「やっと動きを見せたな。」
第三者の目で見てみたが、そんな感想すぐ忘れてグダグダになるのだろう。
俺の名は片桐篤。あるパソコンショップの店員さんに一目惚れしてしまった高校一年生である。そして翌日。
「そうか、二年の先輩といい江崎さんといい、片桐は姉萌えだったか。」
俺の事を冷静に分析するのは久保匠。こいつがオタクだった為に俺は江崎さんと出会えたと言っても過言ではない。
「久保!俺はどうすれば江崎さんと親密になれる!?」
オタク関連の話題なら、こいつほど頼りになる奴はいない。
「ふむ。そうだな。趣味を合わせてみてはどうだ?」
「しゅ、趣味…。」
「ちなみに江崎さんが最近ハマっているものは某オンラインRPGとBLゲームだな。」
…すまん、付いていけん。
「RPGはわかる。…びーえる?」
「ボーイズラブ。一般人にはホモゲーと言った方が分かりやすいかもな。細かく言うと別ジャンルなんだが。」
「すまん、それは無理だ。」
っていうか詳し過ぎだ久保。
…RPGはオンラインな時点で我が家は無理だし、ゲーム関連の趣味は合わせずらいかもな。
「ゲーム以外では?」
「BLモノの読み物は全て抑えてるようだな。」
どこまでも邪魔するかBL。
「少年漫画が好きみたいだな。話を聞く限り。」
「お、それならなんとかなりそうだな。」
「果たしてそうかな?」
「なんだ?」
「彼女の妄想力は俺を上回るぞ?」
…基準がよくわからんがなんだか凄そうだ。
「じゃあ俺はどうすれば?」
「…酷な事を言うがな、片桐。今まで一般人を貫いて来たお前には彼女の相手は重荷だ。諦めた方がいい。」
まるで自分のことの様につらそうな顔をする久保。
「…お前。」
「すまん、昨夜の鬱ゲーを思い出した。」
この野郎…。
「ところでお前は鬱と言う字は書けるか?」
「…いや、読めるが書けん。」
「うむ、やはり貴様は相応しくない。」
「どういう基準だ!?」
「今現在、書ける奴の半数がオタクだ!」
「根拠は!?」
「ある!」
…何やら自信たっぷりなので言及しないが。納得はいかないが、こうして俺の一目惚れは忘却されることになった。
「あそこ中古も扱っててな。今日行くが付いて来るか?」
「絶対行かん!」
強がるが、涙が出ちゃう。男の子だもん。
くそ、俺はいつになったら恋人が出来るんだ!