町外れの高台に聳える教会の屋根を、空を覆う暗雲から降り注ぐ矢のような雨が叩き付けている。
「ミス・マジェンタ、この雨は今夜いっぱい降り続くでしょう……今夜は此所で一夜を明かしますが、よろしいですかな？」
鈍い輝きを放つ大剣を背負い、巨大な鎧で身を固めた男は、マジェンタと呼ばれた少女へと伺った。
マジェンタは長い金髪を手櫛で撫でると立ち上がり、答えた。
「えぇ……そう致しましょう。
此所でしたら聖母アジェラの御加護もございましょう」
伺った男は髭をさすりながら、優しさを秘めた瞳で少女を見据え、首を縦に降ると教会の入口の扉を開けて、外に居る数人の若者に大声で呼び掛けた。
「今日はこの教会に下宿する！
見張りは二刻毎に交替して立てるぞ！」
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