天使のラエロは自分が人魚のアルゼに恋心を抱いてしまったのに気付いてしまいました。
ラエロは悲しげに歌っているアルゼのもとに静かに舞い降りました。
「はじめまして、僕の名はラエロ。君と君の歌声があまりに美しかったので地上に降りてきてしまいました…」とアルゼに言いました。
アルゼはキラキラとした目でラエロを見つめ、「あなたも私たちと仲間なの…?あなたは人間にもなれなくて鳥にもなれなかったの?…でもあなたには高く飛べる翼があってうらやましいわ…」と自分が欲しい翼を持っているラエロにそう言いました。
するとラエロは「僕は人間になれなかったわけではないし鳥になれなかったわけでもないよ…気付いたら僕は天使になってたんだ。だけどこの翼がなくなったら僕はどうなるかなんて考えたこともなかったな…そんなに空を飛びたいのかい?」とアルゼに言いました。
「私はもうこんな暗くて冷たい孤独な海の中は嫌なの…あなたのように空を飛んでみたい…」とアルゼは真珠のような涙を流しながらラエロに訴えました。
ラエロはアルゼがとても可哀相になり、「僕の翼を貸してあげようか?」と思わず言ってしまったのです…。
「え…?あなたは翼がなくなったらどうするの?そんなことできないわ」とアルゼは驚きながらラエロに言いました。
するとラエロは「大丈夫だよ。君の夢が叶えられるなら僕は嬉しい。翼がない間はここで待っているから」と優しくアルゼにラエロは言ったのです。
しかし、それは天使のラエロにとってやってはいけない禁忌だったのです…