私達は近くの公園に移動していた。
(知ってるって、どう言う事…??)
「ま、まさか小さい頃に合った事があるとか…そーゆーオチじゃないよね??」
んな、少女漫画な!と思いつつ念の為、聞いてみる。
「水城ちゃんは知らなくて当たり前なんだ」
私の目を見てふっと微笑む水嶋君に、ドキッとしてしまった。
「初めて俺が水城ちゃんの存在を知ったのは四年前」
私がまだ、大和中学の学生だった頃だ。
「たまたま、大和中学の前を通ったんだ。何気なしに見たのが体育館裏で、背の高い男女が向き合ってるのが見えた…」
ここまで聞いて、すぐにピンと来た。
あの時の事なんだって。
「み…見られてたんだ。あははっ」
恥ずかしいのを隠すかの様に意味もなく笑う。
けど、彼は悲しいような困ったような、曖昧な表情を見せた。
「正直、その時はとんでもないとこ見ちゃったなって、ただそう思っただけだったんだけど…」
「だけど…?」
「次に見たのが、その二年後。俺が前に通ってた第一高校での試合だったんだ」
二年前の事を思い出す。確かに、第一で女バスの試合をしたのはしっかり覚えてる。何故なら初試合だったから。
「すぐにわかった。あの時の娘だって」