「誰!?」
俺は恐怖のあまり大声で叫んだ。
もしかしたら、見間違いかもしれない。
「そ、そうだ、昔の事だろ・・。」
そう自分に言いきかせ、夕飯を食べずにベッドに寝転んだ。
そうでもしなければ落ち着かない。不安だった。
「優君、怖いよ・・。ドアが閉まらないよ・・。」
「優君、怖いよ・・。窓が開かない・・。」
「いやぁ!!ぎぃぃ、ご・・ぁぁぁ・・。」
「ひぃ!!?」
酷い夢だった。
俺はただ、このみが無残な姿になるのを見ているだけだった。
このみは俺を見つめながら叫んでいた、助けを求めて。
俺はどこにいたんだ?どこから見てたんだ?やった奴の姿は?
俺はそばにいた。正面にこのみがいたんだ。だれが殺した?
俺か?ほかに誰がいる?全部夢だ、いい夢も見れば悪い夢も見る。
「俺じゃない・・、このみは俺が守るさ・・。」
今日は休み、図書館で例の事件を調べることにした俺は図書館へ向かった。
「あれれ?優君なにしてんの?」
「皐月か、こんな所で会うなんて珍しいな。」
「ちょっとね〜、どこ行くの?」
「あぁ、今から図書館に行くんだよ。」
「図書館?そんな所行くなんて珍しいね。」
「なかなか用事は無いからね。」
「ひょっとして、事件のこと?」
「いや、違うよ。親に本を借りてきてくれって頼まれてたんだよ。」
とっさに嘘をついてしまった、なんだか馬鹿にされる気がして。
「へぇ、じゃあもう行くから、じゃあね〜。」
「ああ、じゃあな。」
しまった、親は留守なのを皐月は知ってるんだった。
大丈夫、きっと忘れてる・・。
そして図書館に着き、事件について調べた結果、いくつか明らかになった。
殺された主婦、警官以外に被害者らしき人が数名いたようだ。
その人たちは共通して『幻覚』『幻聴』などを訴え精神病と判断された。
しかもその人たちは謎の『自殺』を遂げている。
いったい犯人はその人たちに何をしたのだろう、直接命を狙ったようには思えない。
殺すならもっと簡単に殺せたはず・・。
「そろそろ閉めますよー。」
気づけば閉館の時刻だ、すっかり俺は夢中になっていた。
「そうだ・・、夕飯買っていかないと・・。駅前にしかコンビニないんだよな。」
「今日もコンビニ・・。お弁当に野菜ジュースも買ったね・・。だめだよ・・。」