ヤス#54
「フオッ、フオッ、フオッ…ちと、難しすぎたか…では、ヤスよ…お前は母様が好きのようだな」
「それがどうかしたのか?」
「アイはな、お前に恋したのじゃ。その恋があのように美しいオナゴに仕立てていった。だか、お前の心は母様で一杯じゃ。ヤキモキを焼いたのさ」
「これから、どうなる」「そんなことはわからんよ。女心は龍神様とてわからんじゃろう。フオッ、フオッ、フオッ。まあ、しばらくは現れんじゃろうがの」
「そうか、それを聞いて安心した。早速、母に知らせる。ありがとう、サトリ」
ヤスはきびすを返した。振り向きもせずに帰っていった。
「やれやれ…あの年で女難の相が出ておるわ」