「一つ引っかかるんだが…」
ツキが、最初の交差点に差し掛かった辺りで突然口を開いた。
「なぜ今ままで気づかなかった!?」
「何だよいったい。」
「なぜやつは俺たちを生かした?なぜわざわざ、自分の領土になるハンゼルガに俺たちを捨てた?」
「なんでなんだ?」
「俺たちをスコルに感染させるためさ…そのために俺たちに傷を付け捨てた…」
ツキの表情は絶望に満ちていた。
「でも、スコルは夏に全滅したはずだろ。それに、スコルに感染させなくても殺そうと思えば殺せたはずだ…」
「サン。お前、スコルが30度で死ぬと誰に聞いた?」
その言葉で、サンの顔色が変わった…
「レナルドだ…」
「おびき出されたってわけだ。スコルに感染する…感染するとどうなる!?」
「感情のない…廃人になる…」
ツキは、雨号を思い切り地面に突き刺した。
「違う!奴が俺たちを廃人にしたがると思うか!?あいつは無駄なことは一切しない、自分の利益しか考えない!」
「つまり…どういうことだよ…」
「おそらくスコルは、人間を操るためのウィルスだ…スコルに感染したら…レナルドの奴隷だ…」