天使のラエロはいまだに目を閉じたままでした。
ラエロにとって、地上から天国へ行くことは容易なことでしたが、人魚のアルゼにとっては初めての翼であり、ラエロを抱え、太陽の熱や乾燥に耐え天国へと行くのはとても時間がかかり大変なものでした。
何十時間、飛んでいたでしょうか…
ようやく天国へとラエロをアルゼは連れて来ることができたのです。
しかし、そこにはもう美しい姿の人魚のアルゼの姿はなく、ボロボロになり疲れはてたアルゼの姿がありました。
「神様…私はラエロを連れて来れました…これでラエロをまた天使へ戻して下さい……」と言いました。
すると神様は、
−よくぞ、やり遂げた。そなたが挫折せずにここまで来るのを見ていた。念願の飛ぶ夢だったがそなたにとっては過酷であっただろう。これでそなたの罪も許し、ラエロを天使に戻してやろう−
と言いました。
「良かった…ラエロ良かったね…」とラエロを神様に渡し、静かにアルゼは倒れました。
神様はまずラエロにまた新しいリングを授けました。
するとラエロは目を覚まし、神様から状況を聞き、驚きました。
「なんてことだ!僕のためにアルゼがこんな姿になるまで頑張ってくれたなんて!神様お願いです!アルゼを助けてください!!」と言いました。
すると神様は−アルゼは本当によく頑張った。アルゼの願いだった青い空を自由に飛ばせてやろう。きっとアルゼはここまで来るのに必死で楽しんで飛ぶことなどなかったであろう…天使は人間しかなれないのだが今回の褒美にアルゼも天使にしてあげよう−と言いました。
「ありがとうございます!しかし神様、もう一つだけアルゼの為に叶えて欲しい願いがあります…」と神様にそっとラエロは伝えました…