ボクと春夏ちゃんは、神龍湖のほとりに座って、おしゃべりをした。春夏ちゃんはボクより、一つ上の学年らしい。そうなんだと思って敬語を使うと、笑われた。
「別に敬語なんか使わなくていいよ。一つしか違わないんだしさ」
うん、とボクは笑って頷いた。
前はどこにいたのとか、何でこっちにきたのとか、春夏ちゃんはいろいろ聞いてきた。
「お母さんとお父さんがいなくなっちゃって、こっちに来たんだ。二人ともここにいるんじゃないかと思ってさ。ここにいると、見つかるんじゃないかなと思ってこっちに来たんだ」
春夏ちゃんは、びっくりしていた。そして、ボクの方を見て、しゃべりだした。
「克君、あたしもお母さんとお父さんがいなくなっちゃって、一昨年こっちに来たの。初めてだよ、あたしと一緒な人」
今度はボクがびっくりした。春夏ちゃんの顔を見ると、目から涙が落ちようとしていた。ボクはそれにとまどい、ドキッとした。目を逸らしちゃいけないとは思ったけど、上を見た。
空は快晴で、雲一つなかった。太陽がボク達を照らしていた。
ボクは春夏ちゃんに、ささやいた。
「一緒に、春夏ちゃんのお母さんとお父さんを探そ。もちろん、ボクも自分のお母さんとお父さんを探すけどね」続