―昼休み―\r
「あっ阿部やん、昨日のドラマ見た!?」
席に座りながら、水城が忙しなく話し掛けて来る。
あんた、ドラマなんかあんま見ぃひんやんか…。
かりんとうをほおばりながら聞く。
「金広武のか?」
うんうんと頷く水城。
「見てへん。昨日は借りて来たムチャイケ見とったから」
…ちゅーか、今、ヘッドフォン少年(昨日、転校してきたばかりの水嶋…なんちゃら)が水城に話し掛けようとしとったように思うんやけど?
「そっか、阿部やんムチャイケ好きだもんなぁ」
水城の話を耳を傾けつつ、水嶋を目で追った。
何か、避けとる…か?
そーいや、朝も水嶋が明らか声かけようとしとったのに、ワザワザうちんとこ走りよって来とったもんな。
こーゆー時の水城はだいたいそうや。
水嶋を目で追うのをやめて、今度は水城をじっと見る。
「な、何?顔に穴が空きそうなんだけど…」
おどける水城に穴が空くかどうかは知らんけど、そーゆう姿もちょっと見てみたいなと、頭の端で思いながら言ってやった。
「今日、電話待ってるで♪」
しかもとびきりの笑顔でな♪