俺達は、チャリで河までの道のりを走っていた。「なぁ武蔵、ホントに行くんか?あんまり行きたくねぇんやけど。河童に捕まったら、殺されちゃうんだべ?武蔵は恐くないんだか?」
友達の弱気な声を無視して、俺はぐんぐんスピードを上げていく。
やがて、きつい坂道に差し掛かり、俺達はチャリを押すことになった。フーフー言いながら登りきると、下には緩やかに流れる例の河がある。
俺は振り返り、悟と猛に言った。
「ほれ、着いたぞ。ここまで来て、帰りたいとか言うなよ?俺は本気じゃぞ。河童は昼にも出るじゃろ?夜はさすがに俺も恐いけぇ、帰るさ。じゃけど、日が落ちるまではおるつもりじゃ。出やへんかったら、今日はそれまでじゃ。また、明日ここに来る。それの繰り返しじゃ」
諦めたように、二人ともため息をついて、坂を降った。俺はるんるん気分で坂を降った。下に着くと、近場にあった岩に俺はどっかと座った。他の二人も、岩を見つけて座った。悟が口を開いた。「もし河童がいて見つけたら、武蔵はどうすんだ?」
「んなもん、決まってんじゃネェか。友達になるんだよ」
二人は岩から落ちた。落ちた拍子に、頭を打ったのか、猛は呻いている。それを見て俺は笑った。
水の音がした。続