「ミサキさーん?入りますよー」
借りた鍵をさしこむ。するといきなりドアが開いた。
僕はドアとキスする羽目になった。
「いてて・・・」
痛む顔をさすりながらドアを開けると、いきなりミサキさんが倒れ込んできた。
「ミサキさん!!?」
とにかく部屋に入り、ミサキさんの容態を見る。
熱が上がってしまったらしい。顔は真っ赤で薄く汗が滲んでいる。息は荒く、体はとても熱い。
「大丈夫ですか!?」
ミサキさんを抱き抱えるて声をかけると、ミサキさんは薄く目を開いた。
「リ・・ク・・っ?」
熱のせいか目は潤み、舌がうまくまわっていない。
僕の頬が赤く染まるのを感じた。
密室で男女が二人っきり。さらに女は熱で弱っている。
頭の中には妄想がひろがりだす。
「リク?・・・あっあたしっ大丈夫・・だ・・・からっっ!!!」
ミサキさんが無理矢理僕の手からおりた。
でも僕は、あろうことか、おりたばかりのミサキさんを抱きしめてしまった。
「リ・・リッッリク・・・!!?」
はっと我にかえった僕は、自分のしたことに気付いて頭が真っ白になった。
沈黙・・・・・
ミサキさんは僕の腕の中で微動だにしない。
この気まずい雰囲気を壊したのは電話の音だった。