｢何の用や？｣
うちは冷静を装って、目の前におるスーツ姿の男に問い掛けた。
｢何故、何度電話しても出てくれないんだ？メールも返事がないし｣
は？何ゆうてんねんこの男は。
｢何故って、自分から別れを切り出しといて意味わからんねんけど？｣
｢いつそんな事を！？｣
｢一昨日、ちなみにメールで｣
｢……｣
目の前の元彼は、イヤ、そんな筈…などと一人でぼやいて、再び話し始めた。
｢沙野子。ボクには正直覚えはない…。もし本当にそんなメールが君に届いたなら、嫁の仕業かも知れない｣
うちは腕を組むと同時にため息を付いた。
｢だから何？うちの中では完全に終わったものになってるんやけど｣
ガシッ！
(イタッ)
動揺した洋平がうちの両肩を掴む。その様子を見て、孝志はオロオロしとる。
｢待ってくれ！ボクの気持ちはどうなるんだ？｣
んなもん知るかい！
うちは目を逸らした。
｢悪いけど、元サヤに納まるつもりない｣
｢何故！｣
｢ちゅーか、肩痛い｣
さっきよか力こもってるし！
(ええい、うっとおしい)
うちは洋平の手を振りほどいて、咄嗟に孝志にしがみ付いた。
｢うち、この子と付きおうてるから！｣
シーン…。
ん？無理あったか？
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