学校の支度を5分ですませた。
寝癖だらけの頭が気になるけど今はそれどころじゃない。
階段を駆け下りながら
「お母さん!何で起こしてくんないのッ!」
とリビングのソファーで寝ているお母さんに焦りながら叫んだ。でも、母は爆睡しているようでまったく憐の声に気づかないようだ。
「もうッ!」
母が気持ちよさそうに寝ているものだから少し腹がたった。
でも、これもいつもの事だから慣れてしまった。
私の家はお母さんとお父さんが離婚してお母さんと私、二人だけで暮らしている。小さい頃に少しだけお父さんと暮らした事があったらしいけど全然身に覚えがない。
でも、別にそんなの気にしていない。
そして、お母さんは有名な小説家なのだ。夕べも締め切り間近らしく、徹夜で書き上げていたみたい。
呆れるけど、すっごく自慢のお母さん
。
バンッと玄関のドアを開けると家を出て、一気に下り坂を駆け下りた。
青い空がやけに目に焼き付いて、最悪な気分も忘れるくらい気持ちい空だった。
校門の前まで来たけど門は完璧に閉まっていて、入ることが出来なかった。しかたがなかったから学校の裏へ行って大きな穴の開いた古いフェンスをくぐって中に入った。学校の玄関を通って教室へと走った。