母さんの敵を討つために僕は､組織に入った｡あの男とクロウを殺すチャンスを掴むために…
その組織は各地のスラム街をまとめるマフィアの集合体みたいなものだった｡
しかし､僕が連れて来られた場所はスラム街ではなく､富裕層が住むビル街の中でも一際デカいビルの地下だった｡
そこで､僕は白衣を着た男達に引き渡された｡
『キミがイルくんだね｡話は聞いてるよ｡早速だが仕事だ｡こっちについてきて｡』
そう言われ案内された部屋には､椅子が１つだけあって他には何もなかった｡
しばらくすると､黒服の男達が5､6人ｿﾞﾛｿﾞﾛ入ってきた｡その中にはさっきの男もいた｡
黒服の男達は一人の男を連れて来て､椅子に座らせ､縛りつけた｡その男は口を布で塞がれ､苦しそうにしていた｡
『さぁイルくん｡このおじさんに向かって能力を使うのです｡』
あの男が僕に囁いた｡
だいぶ戸惑ったが､ここは大人しく従う事にした｡
僕は右手をゆっくりと差し出した｡
『ん〜ん〜!!』
男が声にならない声を叫んでいる｡僕はなるべく男から視線そらして､右手を当てた｡
…
また悲しい記憶が僕の頭を駆け巡り､また僕は闇に堕ちた｡
…
…
…
『おかえり｡』
闇がそう告げた｡
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