僕が大好きな君の顔

成島パンナ  2007-05-31投稿
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「おしっこぉ」

華奢な男と、デカい女。
その間に“捕らえられた宇宙人”状態の幼い少年。

三人は、駅前の大きな通りを歩いていた。

「お、おしっこね…っ
ちょっ、もちょっと我慢出来る〜??」

男は必要以上に焦りながら、公衆トイレを求める。

「ミケぇ」
女が、片手に持ったアイスクリームをほおばりながら呟く。
「もし漏らしたらアンタをぶん殴るからね」

『ミケ』と呼ばれた男が、驚愕の表情で固まる。

すると幼い少年が女を指差し、

「アイスたべたい」

と無邪気に言った。

「えぇ、おしっこは!?」

ミケが一瞬コケるフリをする。

「イーヤ。」

女はぷいとそっぽを向いてアイスをひとなめする。

汚れるのも気にせず豪快に食べる為、溶けたアイスが首筋にしたたる。
生唾を飲み込まずにはいられないミケ。

(「や…ヤバい、キレイ…」)

すると、女はアイスの雫を拭って、彼を睨みつけた。
いかがわしい視線に気づかれたからかと身構えたが…

「ってかさ、交番行くんじゃなかったの?
いつまで迷子連れて歩かなきゃなんないのよ。
それともアタシとデートするのがそんなにイヤ?」

「滅相もない!!」

ミケは、女『イバラ』とデートするこの日を、二年弱も待っていた。
ミケはイバラの彼氏でもなければ友達でもない。
言わばパシリで、言わば『飼い猫』である。

それでもミケは、美人で独裁者なイバラに惹かれずにはいられない訳で…



ここから先続くかも解らぬこの物語は、二匹の猫とデカい女飼い主の日常と(猫の)受難を描いた、フィクションである。

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