〜コヒャン〜第一話

アールJエム  2007-06-01投稿
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人気のない町を一人の少年が歩いていた。
歳はおそらく、まだ二十歳になっていないのだろう、顔にまだ子供の頃の名残がある。 端正な顔立ちだが、着ている服はつぎはぎだらけだった。
その少年は、路地裏を通り抜けた。
すると、目の前にのどかな田園風景が広がった。
少年は畦道をあるいていった。 やがて山の前までたどりつくと、一件の古びた家があった。
少年は無言で家の中へ入った。 少年はあたりを見渡す。 すると、中から弟のジンスが出てきた。
[びっくりした、兄さん、ただいまぐらい言ってくれよ。日帝の野郎共がきたのかと思うだろ。]
[あぁ、悪い。 今度から気をつけるよ。ジンス、アボジ(お父さん)は、まだかえってないのか?]
ジンスは、慣れた手付きで、皿を洗いながら答えた。[全くアボジももう歳なんだから、こんな遅くまで働かなくても・・・]
兄のジンナムは幼い頃に母を亡くし、一家の生計をたてるため、学校へもろくに行かず、大工の見習いをするかたわら、字の読み書きを勉強してきたのだった。[おい、ジンス聞いたか?日帝がなんか軍事行使を活発に繰り広げてるらしいじゃねーか]
[あぁ、聞いたよ。関係ない奴がなんで口出ししてくんだろうな。]
この頃朝鮮では、日露戦争に勝利した日本が朝鮮王朝にあれこれ口出ししてくるようになり、1905年、朝鮮側に不平等条約を強制的に結ばせた。
あの条約から、5年がたった。
ジンスはふと、父が帰ってきてないのは、日本軍に何かされたのでは、と思い、弟に聞いた。



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